この腫瘍はおもに肛門の周囲に発生し、硬結した「しこり」として認められます。良性の肛門周囲腺腫は雄に多くみられ、雌の10倍ほど発生頻度が高いようです。雌では悪性の肛門周囲腺がんがほとんどです。肛門周囲腺腫は雄性ホルモンが関与しているため去勢した犬では本症の発生がほとんどみられず、また腫瘍の退縮も期待できることがあります。しかし、腺がんでは去勢の効果は期待できません。腫瘍が良性であってもある程度発育すると腫瘍の表面に潰瘍を形成し出血、化膿、排便障害をひきおこします。また、悪性のものでは周囲のリンパ節、腹腔内臓器、脊椎などに転移して重篤な症状を発現することもあります。一般にこの腫瘍は良性と診断されても経過とともに悪性に変化することがあり、摘出手術後の再発率も高いようです。近接した臓器しとて、肛門嚢にも腺腫または腺がんが発生することがあります。